2019年6月4日火曜日

第9回ROBO-剣参加

5月18日の第9回ROBO-剣に参加しました。
トーナメント準優勝、また知能・シミュレーション賞を受賞しました。

今回もまた、基本的なアルゴリズムは一緒のまま、微調整しての参加でした。
見た目にわかりやすいものとしては、固定用の吸盤を変更しました。今まで使っていたPROMATEバキュームリフターはガラスのような平滑で空気の漏れにくい表面にはしっかりと着きましたが、試合で使われる机では表面になじまず空気が漏れ、しばらくすると外れてしまうという欠点がありました。そのため粘着性があってよく馴染む吸盤4個を使って固定するように変更しました。


また、別途実験の結果、KONDOのKRS-4000用アルミローハイトホーンは、ロットによっては平均しておよそ2.3度(degrees)ぐらいの遊びがあることがわかりました。(別ロットでは0.3度ぐらいに収まっているものもありました。)念の為述べておきますと、この遊びというのは、ギアではなくサーボ出力軸とサーボホーンの間の動力伝達を行う、セレーション部分の隙間によるものです。これはホーンの止めネジを強く締めても解決しません。平らな面同士の摩擦によって少しだけ留まるので手でホーンを回してもわかりませんが、位置保持状態にしてフレームに力を掛けると、遊びの分だけ「カクン」とずれ、そこでまた摩擦で留まるような状態です。そのためせっかくトリム調整やセンサーとのキャリブレーションを行ってもそこからロボットが頻繁に乖離してしまいます。
このロボットには強度より精度、というか再現性が不可欠ですので、樹脂製のローハイトホーンに変更しました。これにより若干良くなったような気がします。特に、上腕ひねり軸は打撃の左右方向へのズレに最も大きく影響していました。



準決勝戦の試合です。「コビス」はROBO-ONE格闘部門の常連チームで、今回はROBO-剣二足部門と兼用のロボットでした。架台に載せて片腕部分のみを使い、必要なマーカーも付けることでアーム部門に出場できる、ということのようでした。相手から打ちにくいように小手を上に上げたり後ろに大きく倒した姿勢としたり等、ルールをよく研究しているように見受けられました。カラーカメラを搭載しており、試合前に色領域の検出のデモも行っていましたが、自動制御にはまだ使っていないとのことでした。
逡巡には障害物の干渉を考慮する機能はまだできていないのですが、運良く小手を決めることができました。振りかぶるように高い姿勢を経由するヒューリスティクスを入れており、その影響で偶然都合よくガードされない角度から打撃することとなったためではないかと思います。

決勝戦「ガルー」との対戦です。
予め決められたいくつかの打突動作をする方式とのことでした。相手の接近を検知するセンサーはあるのが見えます。これによって相手が接近してきたら避ける、という動作を以前は行っていたと思います。コメントの内容から推測するに、有効打突部位の位置を検知する機能はなく、相手ロボットが来そうな場所を当てられそうな軌道で振るというものだと思われます。最も目立った点としては、写真のように、相手ロボットから絶対届かない距離まで逃げる機能を持っていました。
逡巡は標的が止まっていると仮定して打突動作を行っています。そのため、相手が攻撃のために近づいてきたときにはそれを打とうとするが、実際には相手はもう引っ込んでいるので空振りする、というような動きになってしまいました。
また、たとえ竹刀が届かないことがわかっても、ある程度の範囲であればとりあえず剣先を最も近づけられるような打突を行うようになっています。そのためこの防御姿勢の相手に対しても空振りを繰り返すことになります。
互いに有効打が出なかったため、延長戦となりました。最後は、逡巡が空振りによって胴が空いているところにガルーの攻撃が当たりました。
標的の検出処理は秒間5フレーム程度かそれ以上で処理できているので、多項式関数のフィッティングと外挿によって移動予測ができるのではないかと思いました。次回大会までに試してみます。

第2回となる二足部門も行われました。

今回二足部門参加ロボットは、すべてラジコン型のロボットでした。ほぼすべての試合で、たとえ相手に隙があっても有効打突部位に当てるのに大変苦労しているのが伺えました。要因の一つは、市販のロボット型ラジコンキットのシステムを使っているロボットが多かったため、腕の動きで細かい狙いを定めるプログラミングが難しかったためではないかと思います。ROBO-ONE格闘競技と同じように、足を使った移動で打撃方向を微調整している様子が伺えました。この点、「コビス」や他のいくつかのロボットは上半身の動きで左右に微調整できるように操縦系を工夫していたのが見えました。しかしながらもう一つの要因として、ロボットを斜めから見るため、竹刀を振ったときどこに当たるかが操縦者から見て把握しづらいというのがあるのではないかと思いました。操縦型でもまだいろいろと工夫の余地があって面白いと思いました。


エキシビジョンとして二足部門とアーム部門の対戦も行われました。アーム部門のレギュレーションはROBO-ONEの標準的なサイズの二足歩行ロボットと対戦できるように考えて作られているとのことです。最初の関節(肩に相当)が地上からの高さ230mmというのがその最たるものです。

Bluethunderとの試合です。

前述のように止まっている標的しか打てないアルゴリズムですが、二足側操縦系のコマンドによっては面などが少し同じ場所に留まる期間があり、そのときに当てられたという感じでした。録画に失敗してしまったのですが、別のロボットともう1試合させてもらい、そちらも2-0で勝利しました。
さすが自動制御だから速い、というような感想を貰ったように記憶しています。しかし実際は打撃の速さは他のアーム型ロボットに比べてさほど速くなく、また今回出ていた二足部門のロボットに及びません。有効打突部位を正確に狙っていて、かつアームの最大長ぐらいの遠い距離からでも打つのですごく速く見える、ということではないかと思います。
センサーで情報を得て計算によって打突動作を生成するという自動制御ロボットのメリットをわかりやすく示せたのではないかと思います。

腕と竹刀の長さが両部門で同じなので、究極的には踏み込むと同時に打撃が行える二足側が有利なのではないかと思います。今はまだフルにリーチを活かしているロボットが少ないため、若干有利に戦うことができました。

また、次回か次々回は私も二足部門にも出場したいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Kariya Micro Maker Faire 2024に出展

3月2日3日のKariya Micro Maker Faire 2024に出展しました。 文字盤式バーサライタ腕時計と超音波浮揚実験装置を展示しました。