2021年1月9日土曜日

推力測定

モーターの推力を再度測定しました。また、効率低下の原因を探りました。

1.モーター性能の簡易評価

現在このロボットにはTelloの交換部品としてオンラインで複数の業者から販売されている8520コアレスモーター(但し型番不明かつ交換作業はDJIがサポートするものではない)とTello用のプロペラ(DJI純製)を使っています。

なお、8520という呼称は直径8.5mm、長さ20mmのことと思われます。具体的なメーカーや型番の情報はまだ見つけられていません。あるいは、規格品ではないため型番がないのかもしれませんが。

開発検討段階では、ESP32 6-axis IMU boardに空いている穴に入るサイズということで、Aitendoで販売されていたM716PA-10 およびPPR-01-55を試そうとしていました。しかし、推力測定してみると全然足りないことがわかったので、もう少し強力かつ入手しやすいものにした、という経緯です。

モーターを買い足す際に異なる業者から購入したので、性能のばらつきがあるのではないか、そもそも違う製品ではないか、という懸念がありました。

そこで推力を測定してみました。ついでに、M716PA-10も再度測定しました。但し、機材の関係で厳密な測定ではありません。

測定用の装置はこのような形で作成しました。電子秤の上に木材を固定し、そこに更にモーター固定用の薄板を固定してあります。台座としてROBO-剣用ロボットのフレームを借用しているため内部に配線基板が見えますが、これは使用していません。

  1. 3.7Vの疑似定電圧電源(スイッチングレギュレータの開放時電圧を3.7Vに設定、駆動中は3.65V前後まで低下する)
  2. プロペラはTelloのものを使用
  3. 地面効果を避けるために下の空間は30cm以上あける
  4. 電子秤で推力を測定
  5. 発熱によりトルクが徐々に低下するため、10秒間連続運転した後の値を読む。
  6. 計測は3回ずつ行った。
  7. 但し、運転の間隔は場合により30秒~2分程度と、一定ではなかったため、すべて等しい条件とはいえない。あくまで目安程度である。


結果、M716PA-10がおよそ10g、8520がそれぞれおよそ55gと50gぐらいということになりました。8520モーターのAとBは購入先の違いです。Aは今までロボットに搭載して使用し続けていたもののため、摩耗による変化かもしれません。購入先は違えど、だいたい似たような特性と見なして使えそうに思います。フィードバック制御以前に個体差や経年変化を吸収するキャリブレーションやフィードフォワードの仕組みは必要かもしれません。
また、やはりM716PA-10では推力が不足することがわかります。なお、以前使用した別プロジェクトで、このモーターにこれ以上の電圧を掛けて使用しても出力は大して増えず、モーターが焼けるだけであるということが経験的にわかっていますので、この時点で諦めました。

2.ロボット搭載時の効率低下要因検討

モーターとファンをロボットに載せる場合、上の実験と違ってファンの周囲にガードや基板があります。これらが気流に影響を与え、効率を低下させるのではないかと考えました。
なお、先の測定ではおよそ3.7Vの電源で駆動していましたが、モーターが触って熱いぐらいに発熱しており、破損が心配になりました。そこで以降は電圧をおよそ2.15Vに下げて実験を行いました。この場合はぬるい程度の温度上昇にとどまりました。

次の各条件で推力を測定しました。

  • モーター単独(立てた薄板の先に固定、前節の実験と同じ)
  • ESP32-IMU基板のみ
  • 基板+下面ガード
  • 基板+下面ガード+上面ガード (本来のロボットと同じ状態)
また、計測は3回、10秒運転して10秒休む繰り返しにより行いました。

結果、上面ガードが最も影響していることがわかりました。基板と下面ガードもそれなりに寄与しているようです。
上面、下面のガードはそれぞれこのような形状でした。直感的にも納得の行く結果ではないかと思います。

逆に、上面ガードを改善するだけで全体重量の10~20g変化に匹敵する可能性があるわけですので、その点では吉報です。
以上より、上面ガードを再設計します。また、下面ガードおよび基板の覆いも検討します。

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